果肉まで紅くポリフェノール豊富な話題の新品種「露茜(つゆあかね)」
「露茜(つゆあかね)」は(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所(現 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門)により開発され、2009年に品種登録されたばかりで、これまでにない特徴を持つ梅の新品種です。
「露茜」は、近縁種の日本スモモとの交雑です。果実重が約40 g~と大きく、果皮は全面に赤く、果肉も鮮紅色で、梅酒やウメジュースにした場合に鮮やかな紅色の美しい製品ができ、またポリフェノール類など機能性成分が豊富に含まれる注目の新品種です。
【露茜の特性】
- 成熟に伴い果皮、果肉とも赤色になる
- 毛じが短く果面の光沢がある
- 果実の大きさは約40g~程度と従来の梅より大きい
- 従来の梅に比べ、果肉歩合が高く、酸含量が少ない
- 開花期は3月、収穫期は7月(従来の梅に比べ遅い)
【紅色の美しい製品ができる! 従来の梅品種にない露茜の特徴】
- 「露茜」を加工原料に用いると、赤色色素が豊富なため、シソなどを添加しなくても、果実のみで紅色の加工品を作ることができる
- 梅酒、ウメジュース、梅シロップ等の飲料をはじめ、ジャムやパン、ケーキ、菓子類、その他の加工食品、料理など、新しい商材として幅広い活用が期待できる
【ポリフェノール、アントシアニンが豊富!露茜の特徴的な機能性成分】
- 「露茜」果実には従来の梅よりもリンゴ酸及びポリフェノール類が多く含まれる
- 「露茜」の樹上完熟果にはアントシアニンが多く、追熟果ではさらにその含有量が増加する(従来の梅に比べ、アントシアニンが60倍)
- 他にも新たなアントシアニン分子種や他の果実にはあまり含まれていないフェノール加工物がみいだされており、健康への効果に関する研究が進められている。
- ポリフェノールは、種々の生活習慣病の原因となる活性酸素種を除去する機能(抗酸化性)を持ち、疾病予防効果のある化合物も含まれます。
- アントシアニンもポリフェノールの一種で、眼の疲労軽減効果や心疾患予防効果を持つ化合物が含まれます。
(現時点では、「露茜」に含まれるポリフェノールについて、ヒトでの有効性は明確にされていません) - 追熟技術は和歌山県と近畿大学により2015年特許登録されました。
(参考) 和歌山県果樹試験場うめ研究所、農研機構
生産量が少なく市場流通していない「露茜(つゆあかね)」を安定的に生産するために
上述のように、従来の梅品種にはない、赤色色素や機能性成分が豊富な特徴から。「露茜」は食品加工メーカー等からも大きな注目を集めています。
しかし、品種登録まもない新品種で、また自家受粉しないことなど栽培には難しい面があり、収穫量が少なく市場にほとんど流通していない状況です。
そのような事から、2013年度より和歌山県果樹試験場うめ研究所が中核となり、「露茜」の安定供給技術の確立と新規の加工品開発を推進する研究プロジェクトが取り組まれました。様々な研究がなされ、成果をえられています。
こんなにいいものであれば !「露茜」の栽培をスタート !
「露茜」の生産量増加により、鮮やかな紅色や豊富な機能性成分を活かした多様な加工品開発が進み、「露茜」の需要が創出され、なかへちの過疎化をくい止め、産地の活性化、梅の新たな市場拡大、また人々の梅への関心につながること願い、「露茜」栽培拠点として「古道の紅音-―アカネの里」が誕生しました。